塗料のはなし② 住宅の基礎・外壁編

変成シリコンコーク ノンブリードLM

毎度です、福尾実です。

またシリーズもので恐縮ですが、住宅の塗り替えに使われる塗料について何回シリーズになるかわかりませんがお話いたします。

住宅の塗り替えというと主に外部のことを指しますが、住宅の外部は、基礎、水切り、外壁、軒天、破風、屋根、窓、玄関ドア、換気口、外構などで構成されていて、それぞれに適した塗料が実はあります。
今回は基礎、外壁について解説していきます。

基礎用塗料

基礎は、住宅の中で一番重要な部位で砂や砂利と鉄筋で作られた鉄筋コンクリートで出来ていて、現代の建築・土木に欠かせない素材です。
なので、中性化と言ってコンクリートの劣化を防ぐために専用の塗料が開発されています。
弊社の取扱商品は、菊水化学工業の基礎ガードという商品です。
これはセメントと、混和液という「のり」みたいな液を混ぜて、直接コンクリートに2回塗る、塗り方は普通のローラーで1回、多孔質ローラーという厚く塗るためのローラーで1回、という商品です。
厚く塗る理由は、ヒビ割れを隠したり、北海道の場合は雪に覆われて冬の間厳しい環境に晒されるためです。
薄く塗る場合は、ヒスイという油性のつや消し塗料のコンクリート色(大体25−70A、25−65A位)を塗装することもありますが、長く持たせようとすると基礎ガードにはかないません。

外壁用塗料

外壁の素材は、多種多様です。
主にはコンクリート、窯業系・金属系サイディング、木材、などですが、ここでは、一番多い窯業系サイディングについて、話します。

窯業系サイディングとは、セメント、繊維質などを成形、高温処理した建材です。
だいたい50年くらいの歴史があって、それ以前は、モルタル壁が一般的でした。
モルタル壁は、ひび割れ=防水性が悪い、施工の難しさなどがあって、今は多くの住宅の外壁がサイディングに取って代わられました。窯業系サイディングの表面は、工場で塗装されて出荷されますが、年数が経つとその塗装やサイディング自体、また継ぎ目のシーリング材が劣化して来ますので、シーリングの打ち替えも含めて塗り替え工事が行われています。

シーリング材(コーキング材)について

窯業系サイディングに使われるシーリング材は、変成シリコンノンブリード、LM(ローモジュラス)です。
初めて聞く方には、呪文のようですよね。なぜ変成シリコンなのかについては、塗装可能で長持ちという理由だと思います。
ノンブリードの意味は、ブリードと言ってシーリング材の上の塗装面を黒く汚す現象で、それを解決したノンブリードタイプが今は主流になってます。
LMは、元の形に戻ろうとする力の度合いのことで、LMは元に戻る力が弱くサイディング向き、HM(ハイモジュラス)は元に戻る力が強いという意味です。
続いて、シーリング材と塗料の相性について話します。
窯業系サイディングは、油性、水性共に塗装できます。
ただ、シーリング材の上に塗る場合は、シーリング材がとっても柔らかいので、通常の塗料はひび割れを起こします。ここがよく問題になります。
メーカーさんはシーリングの上には塗らないでくださいと言いますが、そうすると施工の手間がかかったり、シーリング材の耐久性が悪くなったり、工事費自体が割高になります。これでは工事を取るための競争に勝てません。
また、シーリング材メーカーは、変成シリコンは塗装できるとうたっています。なので、現状の最適解は、「水性塗料をシーリング材を打ってから塗る」です。なぜ水性塗料が、シーリング材の上に塗ってもひび割れせずに長期間剥がれないかは謎ですが、相性がいいと言うことだとおもいます。

下塗り塗料について

また、窯業系サイディングの塗り替えは、下塗り塗料、シーラー、フィラーの選定も大切です。
一般的には、カチオンシーラーというのが主流です。
サイディングとの付着が良いので水性2液シーラーというものも使う事例が増えて来ています。
また、表面に亀の甲状のひび割れがあったり、塗膜が剥がれたりしてる場合などは、充填材を意味する「フィラー」という粘度の高い塗料をローラーで塗るという選択肢もあります。
フィラーには、セメント系(要シーラー、セメンシャス2000など)と、アクリル樹脂系(シーラー不要、ダイナミックフィラーなど)があり、セメント系の方が密着力が高く、サイディングの基材との相性がいいので、劣化が激しいサイディングはセメント系をおすすめします。
セメント系は要シーラーなので塗り回数が増え、工事費が高くなります。アクリル樹脂系は、防水性を高める意味で使うことはありますが、そういう要求は少ないです。

上塗り塗料について

シーリングと下塗りについて話して来ましたが、最後は上塗りの水性塗料についてです。
グレードは、アクリル、アクリルウレタン、アクリルシリコン、フッ素、無機という順に耐久性が上がっていきます(油性塗料もだいたい同じです)。
艶は、艶あり、7分、5分、3分、艶消しとあり、艶消しはアクリルウレタンとフッ素はありませんし、メーカーによっても、あったりなかったりします。

部分補修について

もし、サイディングが欠けていたり、割れていたりした場合は、サイディング自体の交換もしくは部分補修を行います。部分補修は、ナショペン工業(株)のワレナインという水性アクリルの繊維入りパテ一択という状況です。
オート化学の油性ウレタンのフラットパテという商品もとても優秀ですが、入手の困難さと、値段の高さ、使用期限の短さがネックになっています。
こういった商品は、サイディング部分交換よりも安く済ませることができます。

といった感じで、今回はけっこう真面目に語ってしまいましたが、塗料ってどんなもの?ということで住宅の基礎や外壁の塗料について、話してみました。

最後まで読んでいただいてありがとうございました。

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