塗料のはなし③ 軒天・破風・屋根

北海道は雪解けが進み、いよいよ春本番といった感じです。これから、弊社は繁忙期に入っていきます。その中でも今回の内容は、わたしたちの仕事の多くを占めています。
軒天・破風・屋根とは、ほとんど屋根のことですが、軒天や屋根は、普通に生活していると意識することはありませんが、意外と厳しい環境なので塗装が剥がれることが多い箇所です。
破風は、木の破風が少なくなり、板金の破風が多くなってますので、剥がれのトラブルは少ないと思います。

軒天は通気が命!?

それでは、軒天の塗料について話していきたいと思います。
軒天は、位置的には屋根の裏側にあたります。なので、雪などで劣化が進むことはありません。しかし、建物の構造にもよりますが軒天の中で結露や雨漏りなどによって、湿気ったり、水分が溜まったりします。そうなると、軒天の板材が水分でふやけたり、塗装が剥がれたりします。
そこで、職人さんはそういうことを知っていますので、「軒天になんかいい塗料ないのか?」と言われます。その意味は、湿気を逃す通気のいい塗料はないのか?ということだと私は考えています。
関西ペイントは、ノキテンコートという材料があって、小さめの骨材が混ざっていることで、通気を保っています。骨材が入っていることで塗膜に隙間ができるので通気が可能になります。骨材が入っている塗料は、各メーカーのリシン吹き付け、マスチックA、リシンローラー用などがあり、それぞれ軒天に使われています。
しかし一般的には、前回基礎用塗料で紹介したヒスイや水性の艶消し塗料が使われています。軒天塗料の原状は、まだ最適解に辿り着いていないかもしれません。

破風は、木か板金

続きまして、破風の説明をしたいと思います。破風とは、屋根と軒天の厚みが約150〜200ミリほどありますが、その厚みに仕上げの板を貼った部分のことです。正確には、例として三角屋根の場合、斜めの部分が破風で水平の部分を鼻隠しと言うようです。
破風の素材は、私の経験ですが最近は板金と言って金属の板で仕上げているのをよく見ます。その方が確かに長持ちです。金属の板と言っても防錆処理がされてほぼ錆びることがないですし、木用塗料と比べて金属用塗料は高耐久の塗料が揃っています(アクリルシリコン、フッ素など)。
それに対し、木の破風でよく使われる塗料は、主に2つに別れます。木目を出す半透明のオイルステイン系と、木目を潰す系(ソリッドタイプとも言う)のどちらかです。
家主さんの希望でどちらかに決まりますが、すでに木目を潰す系が塗ってあると基本的にはそれ以外の選択肢はありません。剥離材(リムーバー)など塗膜を除去してステイン系を塗ることもできますがとっってもお金がかかります。でも、木目を出してほしいと言う家主様が結構多いんです。。。
と言うことで、ステイン系の代表格が、大阪ガスケミカルのキシラデコールが高いけど使われてます。弊社のおすすめは三井化学産資ノンロットです。着色がよく浸透して膜が張らないので木の呼吸を妨げません(キシラデコールとほぼ同じ)。あとはガードラックやサドリン、オスモなどがあります。
木目を潰す系の代表格がオリンピックステインマキシマムと言ってアメリカの世界的メーカーPPG(Pittsburgh Plate Glass)の塗料が一番いいとされています。その次にキシラデコールコンゾランとノンロットブルーノがあります。木目を潰す系の塗料は、意外と選択肢が少ないです。

板金屋根は雪国仕様?

続きまして、屋根用塗料について話します。屋根用と言っても丸福塗料で扱うのは、金属屋根用、板金屋根用がメインになります。実は、板金屋根は雪の降る地域でよく使われる屋根なんです。なぜかというと表面が平らなので雪滑りがいいことと、金属は意外ですが防水性が高い素材なんです。重いものが乗っても割れたり破断しずらい、ある程度ぐにゃとなるのは防水性を語る上では大事なことになります。
ちなみに本州の屋根は、古くは瓦屋根、現在は新生瓦(カラーベスト、コロニアル、スレート瓦など)といってセメント系のうすい板です。これらを雪国で使うと、雪の重さや凍ったり溶けたりの繰り返しで瓦が割れてしまいます。また、近しいジャンルとして防水塗料がありますが、結構複雑なので別回にいたします。
北海道の屋根は、屋根塗料の試験施工に使われるくらい環境が厳しく、北海道で大丈夫であれば全国販売できるという場所です。なので、近年は少なくなりましたが、トラブルも多くお客さんと屋根の上に登ってメーカーにトラブル対処の交渉をしていました。
トラブルとは、基本的に剥がれがほとんどです。なぜ剥がれるかというと、雪と屋根の境界は、寒暖の差によって凍ったり溶けたりを繰り返しています。なので雪は硬い氷に変わって、その氷が塗膜を削ります。摩耗して徐々に削れていくようであればいいのですが、塗膜が丸ごと剥がれてしまうと問題になります。
下処理としてマジックロンというペーパーを当てたり、錆止め塗料を塗ったりということは、するべきですが、それをやっても剥がれることはあります。
現状の最適解は、関西ペイントのスーパーシリコンルーフがほんとトラブルが少なくなりました。約20年前の発売の頃は、お客様からたくさんのお叱りを受けた商品でしたが、徐々に成長して今となっては屋根塗料の代表格になるくらいの実力がつきました。これは、メーカーの営業さんや開発の方のお力もさることながら、職人さんが、一時期は信用問題になったところから、いいものと認めていただいて使われるようになったのが大変大きいことだと思います。
他のメーカーにもいい商品がたくさんあります。日本ペイントファインルーフ、SK化研ルーフスター、水谷ペイントルーフマイルド、などなど北海道の屋根にも十分使える塗料です。しかし関西ペイントとの違いは、北海道基準を最初に打ち出したメーカーであることと、1液型塗料(1液は混ぜるものがシンナーのみ、2液はシンナーと硬化剤)でそれを実現したこと、さらにダクト屋根(傾斜の少ない屋根)は、1液に混ぜれる硬化剤を開発して使う職人さんの利便性を高めた、ということが現在の地位を作ったと思います。
ついスーパーシリコンルーフについて熱く語ってしまいましたが、ここでもアクリル、ウレタン、シリコン、フッ素、無機等の違いもありますが、屋根塗料の大切な部分は、氷との戦いです。ここがクリアされないと、いくらいい塗料を塗っても剥がれてはおしまいです。2液であれば、おおよそは大丈夫ですが、1液は、注意が必要です。氷にやられてしまうからです。

と言うことで、まだまだ屋根の話題は尽きませんが、ここらへんで一旦終了としたいと思います。ありがとうございました。

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